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これは無関心な私たちのための本です。
沈黙を繰り返しつつ、現在まで歌作を続ける歌人、平井弘。
彼の作品に短歌・評論・小説で迫る初のトリビュートアンソロジー。
【抄出】
【短歌】
かかり真魚「houla」
みづみづと晒すてのひらつめたいをしててあまたの花首を見送る
中丘「こごる」
干上がった橋のしたからたんぽぽの花の環ながれふかぶかとゆく
ネムカケス「散花二〇一六」
傷つけることに傷つくかほをしてみてゐるだけなのねいくじなし
へそ「健忘」
七割は水でもう七割は幽霊でその子は冬を見ている
【小説】
えるれ「先生の鮮明なセンゴ」
「彼女はもう戦争を見なくていい、彼女の世界はずっと幸せのままです」
かかり真魚「朝とうゑ」
「僕は今日、起きてからはじめての飢えを覚える。」
沙世子「ネバーエンディング」
「今度は、私が君を見つめ返すよ。」
なつこ「Be dyed pink」
「風の神様お願いです。ここから俺を連れ去ってください。誰も知らない場所へ。」
ネムカケス「帰還」
「その通り。君はこれからおにいちゃんになる。」
【評論】
ネムカケス「一首評」
沙世子「騒魂祭――言わなくていいことを語るとき」
へそ「かしてあげるあなたが殺してごらん――平井弘の歌と景とをめぐる一考察」